【背景】

築44年のマンション内装リノベーションプロジェクトです。
木の皮を編んだ籠バッグ作りが趣味である施主からの要望は、アトリエとして使うことのできる土間があること、窓から見える川や街並みを楽しめること、そして生活に必要な空間をコンパクトにすることでした。

そこで、ななめに角度を振ったボックス状のコア空間に水回りとベッド、クローゼットなどの機能をまとめて中央に配置し、周囲の既存のコンクリート壁との隙間には、家のどこからでも窓からの眺望を楽しむことができ、自然や気候の変化を感じられるよう台形の平面形状を持った空間が膨らんだりしぼんだりしながら、ぐるりと一続きに連続する回廊空間を計画しました。

用途ごとに部屋を割り当て壁で仕切るのではなく、大らかな空間の中で既存の部屋の立地特性を生かしながら、好きな場所に家具を置き、日の当たる場所で本を読むようにグラデーショナルに生活における様々な営みを楽しみながら、季節や風景の移り変わりを感じられる居場所を目指しました。

【こだわりポイント】

・アトリエやギャラリー、ダイニングにもなる広々とした南側の土間空間。

・移動に合わせて次々と奥の空間が現れてくるような、適度な物陰がありつつも見通しが良い回廊空間。

・カーテンを仕切れば洞穴のような"囲まれ感"で休むことができる飛び込み式の造作ベッド。

・道具や雑貨、時計や絵画など、自由に取り付けることができる有孔ボードの壁面。

【物件概要】

主 用 途 ：専用住宅

所 在 地 ：岩手県盛岡市

延床面積 ：68.40 ㎡

階　　数：-

構　　造：RC造

【プロジェクトメンバー】

意匠設計：NoMaDoS / 吉川尚哉、乙坂譜美、千葉光

環境設計：NoMaDoS / 高橋良輔

照明監修：TILe / 岩壁泰良

施工：株式会社EIKOU

攝影：吉田健太郎