【背景】
岩手県紫波郡紫波町の日詰商店街にあるコワーキングスペースYOKOSAWA CAMPUS。本計画は、その一部をコーヒースタンドに改修したものである。
この建物は、移住してきた施主が数年前から仲間と共にセルフリノベーションをし続けてきたことで、近年はコワーキングスペースとして地域住民に活用され初めていた。しかし、元々が住宅だったため、その賑わいは外からは分かりづらい状態だった。
店主がコーヒーを提供するという新しい来訪の理由を作り、より多くの人に開かれた溜まり場を作ろうとしていることや、日詰にかつて沢山の井戸があった歴史をヒントに、「現代の井戸端」をコンセプトに計画を行った。
既存の窓と間取りを生かし、外壁から内壁へと連続する杉板の仕上げは、間口以上に来客に対して開かれた印象を生む。
また、階段状に高さが変化するカウンターテーブルは、住宅の玄関だった土間や、厨房の床、前面の道路など、元々路面店ではないからこそ有している周囲の様々な段差と呼応しながら多様な世代の人々との間に縁を作る。
街角に現れた現代の井戸が地域住民の生活における共有地として、末永く立ち寄ってもらえることを願っている。
【こだわりポイント】
・店主を囲うように連続する階段状のカウンターテーブル
・外壁から内壁へと続く杉板張り
・既存の建物になじむモールテックスの壁
【物件概要】
主 用 途 :飲食店
所 在 地 :岩手県紫波郡紫波町
延床面積 :58.78㎡
所在階 :地上1階
構 造:木造
【プロジェクトメンバー】
意匠設計:NoMaDoS / 吉川尚哉、乙坂譜美、千葉光
設備設計:高橋良輔
施工:A.hand.s(府金俊彦)
左官工事:株式会社EIKOU
※既存コワーキングスペースの改修と一部の建具の塗装は施主によるもの。
写真:イトウタカムネ写真事務所
【リンク】
・YOKOSAWA CAMPUS
https://www.instagram.com/yokosawa_campus/
・YOKOSAWA CAMPUS 購買部